【新入社員必見】鋼材市況価格について

鉄鋼業界知識

明日から新年度の始まりですね。

ピンポイントではございますが、この鉄鋼業界にも新入生が入ってきます。

特に商社となると、一通りの研修を終えたらいきなり実戦になることも多いと思います。

取引先との会話の中でも、よく出るのが鋼材市況の話です。

4月からのスタートダッシュに向けて、少しでも取引先との会話に入れるよう、

今回は鋼材市況のお話をさせて頂こうかと思います。

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市況価格の調べ方

市況価格を調べる方法は、主に2つです。

1つは、鉄鋼新聞の市中相場をチェックする。

もう1つは、取引先のコイルセンター等に問い合わせをすることです。

 

鉄鋼新聞で市中相場をチェックする

まずはこちらの鉄鋼新聞のホームページにアクセスしましょう。

そして、↓の画像の赤い丸の部分(市中相場)をクリックします。

 

 

そうすると、↓のような画面になると思います。

基本的に市中相場といえば、「熱延薄板 1.6x4x8」の事を指します。

なので、赤い丸の部分の「熱延薄板 1.6x4x8」をクリックし、エクセルファイルを開きます。

※冷延薄板はついでにチェックをしておくといいでしょう。

 

 

開いたエクセルファイルを見ると、昭和くらいからのデータが書かれていると思います。

今知りたいのは、現時点での価格ですから、一番下までスクロールをして、最新の部分を確認しましょう。

 

 

↑の画像が、鉄鋼新聞の最新の部分です。※3/31時点では2月のものが最新となります。

このデータは、鉄鋼新聞の記者が独自にリサーチしているものです。

色々なところに市況価格のヒアリングをして、その高値と安値を書いているのです。

また、「東京」「大阪」と書いてあるのは、地域により市中相場が若干異なるからです。

基本的には大阪の方が若干安いです。さすが商人の町といったところでしょうか。

※今回の参考画像では大阪は高いですが・・・。

 

市中相場を把握する際には、高値と安値を足して2で割った平均値を覚えておけばいいです。

↑の画像で言うと、東京は78円、大阪は79.5円です。

現時点での熱延薄板は78~80円くらいが相場だということがわかりましたね。

 

コイルセンター等に問い合わせをする

コイルセンターとは、鋼材をスリット、レベラー等の加工をする会社のことです。

このコイルセンターには、色んな商社から色んな価格の材料が集まります。

そして、彼らがそれを加工し、”加工賃”等を上乗せして商社に売り戻しています。

そのためコイルセンターはリアルタイムな市況価格を把握することが出来ます

 

ここで補足ですが、先ほど説明した「熱延薄板 1.6x4x8」は一般的に「定尺」と呼ばれております。

定尺とは、読んで字のごとく、定まった尺、つまり広く流通しているサイズの鋼材の事です。

この定尺は、問屋やコイルセンターも販売しております。

ものすごく安い母材を仕入れられているところは、当然販売する定尺も安くなりますね。

さらにいうと、鉄鋼新聞の記者はこのコイルセンターにもヒアリングをしております。

 

まとめると、

  • 鉄鋼新聞 = おおまかな価格感
  • コイルセンター等へのヒアリング = リアルタイムな価格感

ということになります。

鉄鋼新聞は月に1回チェックし、コイルセンター等へは定期的にヒアリングをするのがベストですね。

 

集購価格

集購価格とは、集中購買価格の略称で、トヨタ自動車が高炉メーカーから買う鋼材の価格の事です。

高炉メーカーは主に日本製鉄。

半期に1回、トヨタ自動車と日本製鉄が価格交渉を行います。

字面で分かる通りですが、そうそうたる企業同士の交渉ですよね。

これは「チャンピオン交渉」と呼ばれ、毎年2月~3月、8月~9月頃に交渉結果がどうなったのかと、鉄鋼業界の話題になります。

 

トヨタ自動車は大量の鋼材を消費しております。

もちろん、トヨタ自動車の協力会社であるアイシン精機やデンソーも、さらにその先の協力会社も、、、

といったように、トヨタ関連の企業全体で鋼材を大量消費しております。

そのためトヨタ自動車は、鋼材をまとめてドンっと買い、それを各協力会社に決まった価格で販売します。

そうすると各協力会社からも決まった価格で部品として納められてきます。

つまり、決められたものを決められた価格で安定して回し続けることが出来るのです。

そして価格の見直しは半期に1回。

これがトヨタの集中購買、” 集購 ”の仕組みというわけです。

 

この集購価格は、日本経済新聞などで記事にされます。

改定時期は毎年4月と10月です。

記事には、現状の価格から、○○円値上げ、○○円値下げ、据え置きと表現されます。

たとえば、ある年の10月に、現状価格+5円となった場合、

「トヨタ集購価格 5円値上げ」という風に見出しにされることが多いです。

 

当然、この記事は色んな業界が注目しております。

「トヨタが5円下げたんだからうちも下げてよ!」なんて主張する会社はごまんとあります。

つまり、トヨタの集購価格は多くの業界に影響を与え、それにより市況も動いてしまうケースもあります。

そのためトヨタの集購価格は必ず頭に入れておきましょう

このブログに詳細を書くわけにはいかないので・・・同僚に必ず確認してください!

 

市況を頭に入れておくということは、鉄鋼業界、いや商売をする上での基本となります。

鉄鋼新聞、コイルセンター、集購価格と、チェックすべき価格はまずはこの3つでしょう。

月ごとに変動するので、まずはチェックしてメモをする習慣を身につけましょう。

あなたの鉄鋼人ライフはそこからです!

 

それではこの辺で。よい鉄鋼人ライフを!

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